企業担当者向け 実践コラム

雪かき・除雪作業の腰痛を防ぐには?職場で決めておく手順と周知ポイント

結論から言うと、雪かきの腰痛予防は「動作のコツ」を伝えるだけでなく、誰が・どの範囲を・どの用具で・どれくらいの時間行うかを、雪が降る前に職場で決めておくことが大切です。そのうえで、一度にすくう量を減らす、持ったまま腰をひねらない、作業前に体を温めて準備体操をする、交代で休憩を取る、といったポイントを周知します。

職場で作業中の身体の使い方を確認する理学療法士

この記事の要点

  • 負担が大きい作業:雪かきは前かがみで重い雪を繰り返し扱う作業です。指針の解説では、寒冷時は筋・骨格系が硬くなり腰痛の誘因になるとされています。
  • 事前に決める:担当者と人数、除雪の範囲と雪を置く場所、用具、作業時間と交代、中止の基準を、降雪前に決めておきます。
  • 動作と体操:身体を雪に近づけて膝を曲げる、すくう量を減らす、持ったまま腰をひねらない。作業前には下肢の屈伸などの準備体操を行います。
  • 別の危険にも備える:屋根の雪下ろしや除雪機の作業には、墜落や巻き込まれの危険があります。腰痛とは別に対策が必要です。

この記事が役立つ方

  • 事業所の駐車場や出入口の除雪を、従業員が交代で行っている会社の総務・安全衛生担当の方
  • 冬になると腰を痛める従業員が出て、除雪当番の決め方を見直したい方
  • 冬の安全衛生の周知や朝礼で、雪かきの注意点を伝えたい方

なぜ雪かきで腰を痛めやすいのか

雪かきは、前かがみの姿勢で雪をすくい、持ち上げて投げる動作を何度も繰り返す作業です。滋賀県の東近江労働基準監督署の資料「冬季の転倒防止」(令和6年)でも、除雪は体への負担が大きい作業とされ、運動の強さは平均6メッツと示されています。

厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の解説では、寒冷時は筋・骨格系が硬くなって作業能率が下がり、腰痛の誘因になるとされています。また、急性の腰痛は休日明けの作業開始後3〜4時間に起こりやすいとも書かれています。朝いちばんに、寒い屋外で、準備なしに雪かきを始める状況は、こうした条件が重なりやすいと言えます。

除雪中の事故は腰痛だけではありません。国土交通省の「雪下ろし安全10箇条」のページでは、豪雪地帯で雪の多い年には除雪作業中の事故が年間1,000件以上起き、100人以上が亡くなること、死亡事故の約8割は65歳以上の高齢者によるものであることが示されています(職場に限らず、住民の除雪作業を含む数値です)。北海道労働局は冬季の労働災害を防ぐため「北海道冬季ゼロ災運動」を実施しており、令和7年度は令和7年12月1日から令和8年3月31日まででした。

除雪作業の前に、職場で何を決めておけばよいですか?

東近江労働基準監督署の資料では、天気予報や動線、積雪・凍結しやすい場所を確認して除雪の範囲と雪を置く場所を決めること、作業者と作業手順を決めることが示されています。腰痛予防の視点も加えて、決めておきたい項目を整理しました。

降雪前に決めておきたい項目(例)
項目決めておく内容の例
担当者と人数当番の順番、1回あたりの人数。腰痛がある人や体調に不安がある人は外し、一人に負担が集中しないようにする
範囲と雪の置き場所出入口、通路、駐車場など優先する場所の順番と、雪を運ぶ先。遠くまで運ばなくて済む配置にする
用具雪の量や重さに応じたスコップ、スノーダンプ、除雪機の使い分け。用具の保管場所と点検
時間と交代1人が続けて作業する時間の目安、休憩を取るタイミング、暖を取れる場所
中止・外部依頼の基準大雪の日や屋根の雪下ろしなど、社内で行わず業者に任せる作業の範囲

指針では、作業時間や作業方法などを示す「作業標準」を、取扱い重量や人数、体力、年齢、経験などに配慮して決めることとしています。除雪当番も、同じ考え方で手順を決めておくと、担当者が変わっても同じやり方で進められます。

雪かきの動作で、従業員に何を伝えればよいですか?

指針が示す重量物の取扱い方を、雪かきの場面に当てはめて整理しました。朝礼や掲示での周知に使えます。

  • 雪に身体を近づけ、片足を少し前に出して膝を曲げ、腰を十分に落としてからすくう
  • 一度にすくう雪の量を少なめにする。水分を含んだ重い雪のときは特に減らす
  • 雪を持ったまま腰をひねらない。投げる方向へは足を踏みかえて体ごと向きを変える
  • 持ち上げるときは呼吸を整え、お腹に力を入れてから行う
  • 雪が多いときは持ち上げずに、スノーダンプなどで押して運ぶ。量が非常に多いときは除雪機を使う
  • 滑りにくい靴をはき、凍った場所では歩幅を小さくする

雪の重さについて公的な目安はありませんが、参考として指針では、重量物を常時人力のみで取り扱う場合、満18歳以上の男性で体重のおおむね40%以下となるよう努めることとしています。「軽そうに見えても量が多いと重い」ことを前提に、すくう量を減らす工夫を伝えましょう。

準備体操と休憩はどうすればよいですか?

指針では、腰部に強い負担のかかる作業を始める前に、主に下肢関節の屈伸などの準備体操を行い、作業の終わりには必要に応じて整理体操で緊張した筋肉をほぐすこととしています。また、作業時間中に適宜、小休止・休息が取れるようにすることが望ましいとされています。

雪かきの前後に行う流れ(例)
タイミング内容の例
作業前室内で体を温め、膝や股関節の曲げ伸ばし、足踏みなどを数分行う
作業中時間を区切って交代し、暖かい場所で小休止を取る。汗をかいたら冷えないようにする
作業後太ももやお尻、背中をゆっくり伸ばす整理体操を行う

厚生労働省のリーフレット「重量物取扱いや運転業務による腰痛を予防しましょう」では、寒冷にばく露しないよう衣服や暖房設備で保温対策を行うことが示されています。一方で、東近江労働基準監督署の資料では、除雪は体への負担が大きいため厚着しすぎないよう注意を促しています。重ね着で調節できる服装にし、汗冷えを防ぐとよいでしょう。

すでに腰の痛みや脚のしびれがある従業員には、体操を含めて無理に参加させず、医療機関への相談を優先してもらってください。

高年齢の従業員や体調に不安がある人には、どう配慮すればよいですか?

国土交通省のページで示されているとおり、除雪中の死亡事故の多くは65歳以上の方によるものです。東近江労働基準監督署の資料でも、除雪の作業者には身体に不安がある人を避けるよう示されています。

  • 当番を年齢だけで決めず、本人の体調や持病、腰痛の有無を確認している
  • 体調がすぐれない日は、当番を交代できるルールがある
  • 一人きりで作業させず、声をかけ合える人数で行っている
  • 高年齢の従業員の体力の状況を、転倒等リスク評価セルフチェック票などで把握している

高年齢の従業員の体力チェックについては、高年齢従業員の転倒予防チェックの記事で詳しく解説しています。

屋根の雪下ろしや除雪機の作業で注意することは?

北海道労働局のサイトに掲載されているリーフレット「屋根の雪下ろし作業を安全に行うため」では、倉庫や店舗などの屋根から墜落した死亡災害が紹介されています。作業前に、親綱など墜落制止用器具の取付け設備を設けて器具を使うこと、はしごの上端と脚部を固定すること、天窓など踏み抜きの危険がある場所を確認すること、雪を落とす場所の周りを立入禁止にすることなどが示されています。

また北海道冬季ゼロ災運動のリーフレットでは、重機を使って除雪する際は作業計画を作り、周りの人が重機に接触しないよう作業範囲への立入りを制限することが求められています。こうした作業は腰痛とは別の大きな危険があるため、設備や経験がない場合は社内の当番で行わず、専門の業者に任せることも検討してください。

外部の専門家に依頼すると、何をしてもらえるか

プライズネス健康経営サポートでは、理学療法士が職場を訪問し、除雪を含む作業の動作や作業環境を確認したうえで、従業員向けの腰痛予防研修(講義と実技)や、作業前後に行える体操・セルフケアの指導を行います。冬の前に、朝礼で使える体操や周知の内容を一緒に整理することもできます。内容はサービス内容、費用の目安は料金プランでご確認いただけます(例:単発セミナー55,000円〜、職場訪問評価132,000円〜、定期サポート月額88,000円〜)。なお、本サービスは医療行為ではなく予防のための支援です。

雪が降る前に、職場の腰痛リスクを確認しませんか

「毎年冬になると腰を痛める人が出る」「除雪当番のルールが決まっていない」という段階からご相談いただけます。まずは職場の腰痛リスクを3分でセルフチェックし、その結果をもとに無料相談をご利用ください。

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よくある質問

雪かきで腰を痛めやすいのはなぜですか?

雪かきは、前かがみの姿勢で重い雪をすくって投げる動作を繰り返すため、腰への負担が大きい作業です。厚生労働省の腰痛予防対策指針の解説では、寒冷時は筋・骨格系が硬くなり腰痛の誘因になるとされています。寒い屋外で、準備をせずにいきなり作業を始めることも負担を大きくします。

一度にすくう雪の量に目安はありますか?

雪かきに限った公的な目安は示されていません。参考として、指針では重量物を常時人力のみで取り扱う場合、満18歳以上の男性で体重のおおむね40%以下となるよう努めることとしています。雪は水分を含むと重くなるため、一度にすくう量を減らし、持ち上げずに押して運べる用具や除雪機を使うことを検討してください。

除雪作業の前に準備体操は必要ですか?

指針では、腰部に強い負担のかかる作業を始める前に、主に下肢関節の屈伸などの準備体操を行うこととしています。雪かきの前にも、体を温めてから膝や股関節の曲げ伸ばしを短時間行い、作業後は整理体操で筋肉をほぐすとよいでしょう。痛みがある場合は無理に行わないでください。

除雪当番は誰に割り当てればよいですか?

東近江労働基準監督署の資料では、除雪は体への負担が大きいため、身体に不安がある人は作業者から避けるよう示されています。年齢だけで決めず、本人の体調や持病、腰痛の有無を確認し、一人に負担が集中しないよう交代制にすることをおすすめします。

プライズネスに依頼すると何をしてもらえますか?

理学療法士が職場を訪問し、除雪を含む作業の動作や作業環境を確認したうえで、腰痛予防の研修(講義と実技)や体操・セルフケアの指導を行います。費用の目安は単発セミナー55,000円〜、職場訪問評価132,000円〜です。医療行為ではなく予防のための支援で、痛みやしびれなどの症状がある方には医療機関への相談をおすすめしています。

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この記事は、公的機関などの公開資料をもとにAIを活用して作成しています。制度や数値は変わることがあるため、ご判断の際は出典の最新情報をご確認ください。医療上の判断が必要な症状については医療機関にご相談ください。

出典・参考:
厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(解説を含む)
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「重量物取扱いや運転業務による腰痛を予防しましょう」
東近江労働基準監督署「冬季の転倒防止」(令和6年)
国土交通省「雪下ろし安全10箇条~除雪作業中の事故に注意しましょう~」
北海道労働局「北海道冬季ゼロ災運動」リーフレット(令和7年度)
北海道労働局サイト掲載「屋根の雪下ろし作業を安全に行うため」リーフレット
(いずれも2026年10月20日確認)