「自分が倒れたら、この会社は回らない」——そう分かっていながら、経営者ほど自分の健康は後回しになりがちです。従業員の健康や資金繰りには気を配っても、社長自身の身体のことは「まだ大丈夫」で済ませてしまう。けれど中小企業では、社長の健康リスクは、そのまま最大の経営リスクです。
この記事では、札幌で経営者の身体づくりを支援する理学療法士の視点から、社長が「倒れてから」ではなく「倒れる前」にできる健康管理を、具体的に整理します。
社長の健康リスクは、そのまま経営リスク
中小企業の経営者は、大企業と比べて会社における存在感が圧倒的に大きい存在です。多くの会社で、社長は経営・管理・実務の3役を兼ね、しかもトップセールスマンであることが少なくありません。その社長が突然倒れれば、意思決定が止まり、売上が落ち、それでも人件費や借入返済といった固定費は発生し続けます。
実際、中小企業が廃業を考えるきっかけの上位には「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」が挙げられています。健康問題は、廃業に直結しうる現実的な経営課題なのです。従業員数が少なく、一人ひとりの役割が大きい会社ほど、社長一人の離脱が事業全体を揺るがします。
保険やBCPは「倒れた後」の備え。では「倒れる前」は?
経営者の健康リスクに対して、世の中で語られる対策の多くは「倒れた後」に備えるものです。就業不能保険、事業継続計画(BCP)、後継者の育成、経営者保証への対応——どれも大切ですが、これらはすべて「社長が倒れてしまった場合」を前提とした備えです。
もちろん、万が一への備えは必要です。しかし、それと同じくらい、いえ、それ以前に大切なのが、そもそも倒れないための身体づくりです。保険は身体を守ってはくれません。BCPは病気を防いではくれません。事業継続の専門家も、経営者が病気や事故で倒れないようにするための「死なない努力」の重要性を指摘しています。定期的な健康管理、ストレスの軽減、そして体力の維持は、自己管理であると同時に、会社と従業員を守る立派な経営判断です。
経営者が「倒れる前」にできる、身体づくりの実践ポイント
健康診断で数値を管理することは大切ですが、ここでは理学療法士の専門である「身体を動かす力」の維持について整理します。年齢を重ねても現場に立ち続けるために、押さえておきたい4つのポイントです。
1. 筋力・バランス・柔軟性を「測って」把握する
体重や血圧は測っても、自分の筋力やバランス能力を数値で把握している経営者はほとんどいません。これらは加齢とともに自覚のないまま低下し、転倒やケガ、疲れやすさの原因になります。まずは今の身体機能を客観的に測ることが、対策の出発点です。
2. 「座りっぱなし」「移動続き」の負担をリセットする
デスクワーク中心の社長は長時間の座位で腰や肩に負担が蓄積し、外回りの多い社長は移動と不規則な生活で疲労がたまります。それぞれの働き方に合った、負担をリセットする運動やストレッチを習慣にすることが重要です。
3. 自己流で終わらせず、専門家に見てもらう
「ジムに通っているが効果が実感できない」「何をすればいいか分からず続かない」という声はよく聞きます。経営者は忙しく、限られた時間で成果を出したいもの。だからこそ、身体の専門家が現状を評価し、その人に合ったプログラムを組むことで、無駄なく続けられます。
4. 続けられる仕組みをつくる
健康管理は一度やって終わりではなく、続けることに意味があります。忙しい経営者ほど、一人では続きません。定期的に専門家がチェックし、伴走する仕組みがあると、多忙な中でも身体づくりを習慣にできます。
なぜ理学療法士なのか ― 「身体を動かす力」の専門家
経営者の健康管理というと、人間ドックや健康診断が思い浮かびます。それらは病気の早期発見に不可欠です。一方で、理学療法士が専門とするのは「働き続けるための、身体を動かす力」です。医療現場で身体機能の評価と回復に携わってきた国家資格者が、経営者の姿勢・筋力・バランス・動作を評価し、一人ひとりに合った運動プログラムを提案します。「病気を見つける」健康診断と、「動ける身体を保つ」理学療法士の支援は、経営者の健康を守る両輪です。
従業員の健康と、社長の健康を、一緒に守る
「自分だけ身体を見てもらうのは気が引ける」という経営者もいます。そんなときは、従業員の腰痛・転倒予防の取り組みとあわせて、経営者ご自身も継続的にケアを受けられる形があります。会社の健康管理施策の一環として、社長も従業員も一緒に健康になる——これなら、無理なく取り組めます。社長が元気でいることは、会社にとっても、従業員にとっても、何よりの安心です。倒れてから慌てるのではなく、今日から少しずつ、「倒れない身体」への投資を始めてみてください。
よくある質問
なぜ中小企業では社長の健康が経営リスクになるのですか?
中小企業では社長が経営・管理・実務の3役を兼ね、トップセールスであることも多いためです。社長が倒れると意思決定が止まり売上が落ちる一方、人件費や借入返済などの固定費は発生し続けます。廃業のきっかけの上位にも経営者の健康問題が挙げられています。
保険やBCPだけでは不十分なのですか?
就業不能保険やBCP、後継者育成は大切ですが、いずれも社長が倒れた後を前提とした備えです。それと同じくらい、そもそも倒れないための身体づくりが重要です。保険は身体を守ってはくれません。倒れる前にできることが見落とされがちです。
経営者が倒れる前にできる健康管理は何ですか?
健康診断で数値を管理することに加え、筋力・バランス・柔軟性など身体機能を測って把握すること、座りっぱなしや移動続きの負担をリセットする運動を習慣にすること、自己流で終わらせず専門家に評価してもらうこと、続けられる仕組みをつくることが挙げられます。
健康診断と理学療法士の支援は何が違うのですか?
健康診断や人間ドックは病気の早期発見に不可欠です。一方、理学療法士が専門とするのは働き続けるための身体を動かす力の評価と維持です。姿勢・筋力・バランス・動作を評価し、一人ひとりに合った運動プログラムを提案します。両者は経営者の健康を守る両輪です。
プライズネスの健康経営サポートは医療行為ですか?
いいえ。医療行為や治療ではなく、理学療法士の専門的な視点を活かした、予防のための身体機能評価・運動支援サービスです。持病や具体的な症状がある場合は医療機関にご相談ください。
